メカニカルシールとグランドパッキンの種類と選び方
メカニカルシール
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シングル内装型(マルチスプリング)
安価で、スラリーがなければ安定している。ただし、精密なスプリングのため、析出物が発生する流体には不向き。スラリーがスプリングに固着すると追従不良が発生する。
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シングル内装型(モノコイル)
若干のスラリーであれば、安定してシールできる。また、ポンプ系内に注水することで、最大5,000mg/Lまでのスラリー液に対応可能。
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シングル外装型(マルチスプリング)
低濃度スラリー液に対し、安定したシール性を保つ。また、接液部がセラミック相当の耐食材を採用することで、幅広く腐食流体に対応する。ただし、原則としてクエンチ注水を推奨。
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ダブルメカニカルシール
高濃度スラリー液に対し、安定したシール性を保つ。ただし、接液部に金属があるため、耐食性の確認が必要。また、外部注水が必須。
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シングルテフロンベローズ
スラリーを含まない流体であれば、接液部がテフロンとセラミック相当の耐食材となるため、いかなる腐食流体でも対応可能。
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シングル耐スラリーメカニカルシール
高濃度スラリー液に対し、外部注水なしで安定したシール性を保つ。ただし、突発故障回避のため、クエンチ注水を推奨。
グランドパッキン
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カーボン
安価で、自己潤滑性に優れる。
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テフロン(黒鉛入り)
耐薬品性と自己潤滑性に優れる。
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テフロン(白)
耐薬品性に優れる。カーボンの混入がNGの流体向き(濃硫酸、硝酸、フッ酸、クロム酸、食品など)。
軸封方式のそれぞれの特徴
比較項目 | メカニカルシール | グランドパッキン |
---|---|---|
漏れ量 | 極めて少ない。通常、ポンプ用メカニカルシールの場合、3cc/Hr 以下となり、環境に配慮した構造。 | 極めて多い。1,000cc/Hr 程度は避けれず、実液漏洩によるその他部品への損失範囲が大きく、環境面での問題が残る。 |
寿命 | 通常1~2年以上の連続使用が可能。 | 交換頻度が多く、スリーブの交換も必要。 |
増締調整 | スプリングにより追従するため、増締めは不要。 | パッキン摩耗は早く、しばしば増締めしなければならない。 |
摩擦抵抗 | 摺動面積が小さいため、摩擦抵抗は小さい。 | 摺動面積が大きいため、摩擦抵抗は大きい。 |
価格 | イニシャルコストは高いが、ランニングコストがあまりかからないため、結果的には安価。 | イニシャルコストは安いが、ランニングコストがかかるため、結果的には高価。 |
取り扱い | 精密機械部品となるため、取扱いには注意が必要。 | 簡単に交換が可能。 |
メンテナンス性 | ポンプの分解が必要。 | ポンプの分解が不要。 |